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モロッコを知るにはハマムへ行け!

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モロッコに来て2週間。すっかりモロッコの独特な雰囲気にはまっている。
モロッコはカサブランカに到着し、列車ですぐにマラケシュに移動。夜着いたマラケシュはまるでお祭りの縁日のよう!フナ広場という大きな広場には沢山の屋台(タジン鍋やクスクスなどが格安で食べられる)と大道芸人たち。これが休日平日問わず毎日夜遅くまで続くのだから、この国の底知れぬパワーを感じずにはいられない。

屋台からもくもくといい匂い。

ブロシェット(串)はオバマ皿に乗ってやってきた。
ビールが飲めないのが残念すぎる屋台料理。

広場では鶏を頭にバンジョー?を弾くおじさんバンド。


モロッコの特徴と言えば、メディナ。外敵から守るために建てられた城壁の中に広がる旧市街。この旧市街の中が迷路の様で面白い。ここの中に居るだけで、すっかりモロッコを体感できる。独自の文化が根付いているから、この国ならではの単語も増えていく。

ピンクの壁もラブリー。

モロッコステイはリヤドという雰囲気ばっちりのモロッコ建築の安宿で。


さて、そんなモロッコで二人してハマっているのがハマム(サウナのような、共同浴場)だ。
マラケシュの街を歩いていると、沢山の客引きがハマムに誘ってくるが、それはツーリスト用のハマム(スパに近い)で、日本のスパと変わらない金額だ。私たちがハマっているのはローカルのハマムなのだ。

入口には特に看板がないからわからない。男女別に入口があるか、男女入れ替え制のハマムもある。特に看板もないタイル張りの入口で、入口の奥が見えないようなL字になってたり、更にはバケツを持ったおばちゃんの出入りがあれば、そこは間違いなくハマムだ!

中に入ると番台のようなところがあって、おばちゃんに入場料を支払う。大抵5〜20DH(50円〜200円くらい)。すぐ横に脱衣スペースがあって、洋服を脱いだら荷物やタオルをフックにかけるか、椅子に置き、石けんやアカスリタオルを持っていざ中へ。ちなみに日本みたいに全裸にならない。パンツ一丁スタイル!

室内は大抵3部屋構成になっていて、一番奥の部屋が一番高温のサウナで、手前に行くにつれ呼吸がしやすくなる。大きなバケツを2、3個取って、お湯と水で好みの温度にして自分のスペースに運ぶ。椅子とか桶とか自分専用の蛇口はなく、ただただタイルが張られた部屋の中。マット持参の人はマットに座るが、ない人は地べたに座る。

一番奥のサウナで毛穴を開かせたら手前の部屋へ移動。ここで黒オリーブで出来たどろっとした石けんで体をマッサージして、もくもくと体の垢を落とし、ヘナで髪をトリートメントしたりする。この黒オリーブの石けんはあちこちの商店で売られていて、私も今ではゲットした、ハマムにはマストな一品。

ハマムでは+40〜60DH(400円〜600円位)払うと、マッサージをしてくれるサービスがある。背中などの届かない部分も垢擦りしてくれたり、全身をマッサージしてくれたり、時にはシャンプーまでしてくれたりする。もちろん私はお願いして、私の担当のマッサージおばちゃんに言われるがまま、借りてきた猫のようにちょこんと座っていた。

さあ、ここからの時間がモロッコでしか味わえない、何ともディープな時間の始まりだ。
おばちゃん、若いお姉ちゃん、子供が入り交じって、おしゃべりが止まらない。もちろん言葉はわからないし、英語がわかる人は誰ひとり居ない。フランス語は通じるものの、私にはさっぱりわからない。喧嘩なのか?それともただ激しいおしゃべりなのか?実は結構くだらない話でもしてるんだろうな。想像するだけでにやにやしてしまう私。

マッサージのときはハマムの床に地べたに寝転がる。みんなの垢やシャンプーが流れてくるが、それを必死で手でよけながら、ゴシゴシと垢擦りしてもらう。おばちゃんは大きくてあったかくて、テディベアのように足をくの字に開いて座ってる。私はそのベアの太ももを枕に(笑)うつ伏せになったり、時にはおばちゃんにもたれかかって垢擦りをしてもらうのだ!

「Ca va?(サバ?)」 おばちゃんは時折私に聞いてくる。私はそのたび深く頷く。

私がシャンプーしてるとおばちゃんはちょうどいい温度にしたバケツを運んでくる。私のマッサージが終わったら今度は隣の女の子の背中をこすり出した。隣の女の子はおばちゃんを指差して、親指を立てた。
「おばちゃんのマッサージは最高なのよ」そんなふうに言ってる気がした。

アジア人がローカルハマムに入ってくるのは珍しいのだろう。みんなじろじろ見てくるんだけど、さっぱりと綺麗になった女性はみんな気分がいいもの。艶々になったほっぺたと笑顔がよく合う。言葉が通じない分、笑顔だけが共通だ。

ムスリムの女性は基本的に体のラインを隠すとか、頭を隠すとか、もっと敬虔なムスリムになると顔まで覆う。モロッコでも少ないながら、顔まで覆ってる女性もいる。そんな女性たちがハマムでは全て脱いで、女性たちだけの世界に浸る。普段あまり話せないようなこと、女性ならではの恋愛のこと、そんなことを話してるんじゃないだろうか。昔は息子の嫁をハマム内で探す、なんて話もあったそうだ。母親もやっぱり美しい嫁に来てもらいたい。女性が唯一全てをさらけ出す場所、ハマム。ただの浴場に過ぎない、数々のストーリーが隠されているようで体も心も、ほっこり暖かくなった。

マラケシュのハマムにすっかりはまった私たち。よっちも男ハマムで、男だけの濃ゆ〜い体験をしたそうで、それはそれは感動していた。モロッコを移動中、次の街にハマムはあるのか!?いつも気にしていた。
そして今度はフェズで再びハマムへ行く機会が。フェズで泊まったリヤドの奥さんに近くにハマムが無いか尋ねたところ、ご主人は朝、奥さんは昼過ぎにハマムに行くから一緒に行こうと誘ってくれたのだ。

奥さんは自前のバケツに黒オリーブの石けん、黒オリーブのシャンプー、アカスリタオル、洗髪用のくし、小さなすくい、ハマム用サンダルを入れて、私を連れて行った。フェズの街はマラケシュよりももっともっと細く迷路になっており、一人では絶対辿り着けなかった。

2人の男の子のお母さんである彼女は、毎日宿で「鬼」に豹変する。子供たちの勉強にとても厳しく、子供たちへのビシビシ愛の鞭の音が聞こえる程。私も昔は怒られて泣いたよな〜、なんて思った。厳しい体罰も仕方ないよね、それぞれの家庭のやり方なんだ、と思って毎日苦笑い。そんなお母さん、足下が悪い道は私の手を引いて歩く。怖いお母さんを知っているだけだけに、私はふわ〜っとあったかい気持ちになって、お母さんと一緒にハマムに行けることが嬉しくて仕方なかった。

こちらのハマムも同じ仕様だった。お母さんは私のためにお湯を汲んでくれて、マッサージもしてくれた。モロッコ女性は少しみんなぽっちゃりしていて、かわいらしい。やっぱりテディベアみたいに座って、みんなで垢擦りのし合いっこ。今度は一人だけ、片言の英語を喋る若い子が居た。場所の取り合いで大げんかになってる女性とおばちゃんを指差して、
「モロッコの女性はうるさいでしょ!?」
「結婚してるの?子供はまだなの?」
うん、やっぱり私の予想通り。話のネタは彼氏や旦那さんのことみたい。

金曜日はイスラムの休日なので、商店は殆ど閉まっている代わりに、ハマムは大盛況になる。あちこちで場所取り合戦、垢がこっちに流れて来ただの、熱いお湯が足にかかっただの、自分のバケツに垢が入っただの、何かしら揉めてるかと思えば、ヘナを分け合ったり、マッサージし合ったり。良くわからないが、とっても楽しい人間模様なのだ。

そこへ、太鼓とタンバリンと、鈴やらかけ声やら、祭りのような音楽が遠くから聞こえて来たかと思えば、その音はどんどんとこちらへ近づいてきて、明らかにハマムの中に入ってきてるようだった。お母さんの顔をのぞくと、私の薬指の結婚指輪を指差し、体をこする仕草をした。良くわからないでいる裸の私の手を引っ張り、脱衣所へ向かうと、そこには楽器を持ったおばちゃんに囲まれた若い少女の姿が。18歳くらいだろうか。スリップ姿でうつ向き顔の少女を取り囲むように、太鼓のリズムに合わせて、浴室に居た女性たちがどんどん脱衣所に出てきて、口笛をふいたり、かけ声を合わせたり、舌を震わせて盛り上げたりし始めた。

先ほどの英語を話す女性が説明してくれた。この少女はこれからお嫁に行くのだ。その前に体を清め、身繕いをする、まさにその儀式が始まろうとしているのだ。浴室に戻ってしばらくすると、裸でろうそくを持った初老の女性のあとに、スリップ姿のままの初々しい少女が入ってきた。再び周りの女性たちは口笛を吹いて盛り上げる。少女はそのまま一番奥へと消えて行った。

……なんてディープな体験だったのだろう。普段街で見かけるモロッコ女性はどことなく男性の陰に隠れてて、思うように話せなかったり、意外にコミュニケーションが取れないでいた。ここに来るとそれはそれは自然で生き生きした女性たちの姿。これほど美しく、逞しく、愛らしい女性たちを見たことがあっただろうか。

このような社交場が、いつまでもいつまでも残り続けて行くことを願う。

Written by amigahina

2011年12月27日 at 19:51

カテゴリー: Fes, Marrakech, Morocco