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amigahinaの世界放浪記録

リマの技術屋の話

with 4 comments

リマに降り立つと真夏の蒸し暑さが込み上げてきた。ムンムンとする空気に質の悪い排気ガスの匂いが混ざって、いよいよリマに来た実感が湧く。

前回私がここへ来たのは8年前、24才の時だった。当時はリマに関する犯罪都市のイメージを拭うことが難しく、ドキドキとタクシーに乗り込んだのを思い出す。(しかし結果は素晴らしい出会いと、素晴らしき人々に恵まれた思い出深い旅になったのだが。)
しばらくぶりのリマは空港もどことなく綺麗になった感じだが、タクシーの客引きの勢いは変わらない。活気がある様子を見て一気にテンションが上がる。

 真夏のリマ。インカコーラで喉を潤す。


リマに着いてまずやること、それはポルトガルで壊れたヨッチのカメラを買い換えることだった。結婚式の時に買った思い出のカメラはリコーのGR3。電源を入れるとレンズが出るタイプなのだが、レンズが元にもどらなくなり、電源を入れ直すとビープ音がなる。ヨッチはこの旅でこのカメラの面白さにどんどんハマっていたところだったし、このカメラでマチュピチュを撮影するのも楽しみにしていたのだ。

リマのホテルでカメラが買えるところを聞くと、宿の近くのショッピングセンター、”polvos azules”を勧められた。

行ってみるとそこは雑多な市場のようで、ひと坪程の空間に洋服、靴、アクセサリーなど、それぞれ専門の店が連なっていた。洋服やサングラス、香水などは殆どがコピー商品で、その中に一部本物もあるようだ。
ここに売ってるカメラはどんなものなのだろうか?半信半疑でカメラが売っているコーナーを探し歩いた。なんとなく電化製品売り場らしき場所に出ると、キャノンやニコンの最新一眼レフがショーケースに並び始める。お、これは期待できるぞ。カメラの専門店だけでも30店舗くらいあっただろうか?コンパクトなデジカメを主に取り扱う店から、プロ仕様のビデオカメラや映像機器、レンズ各種、中古カメラなどなどなんでもある!

しばらく歩き回ると、ショーケースの中に使い古しのGRを見つけた!リコーのカメラは海外では殆ど扱いがないので、きっと日本の旅行者の中古品か、または盗品か?などと思いながら、店員に見せてくれるよう頼む。電源は入るが変な音がする。だが店員は「綺麗に直したから問題ないよ。」という。


ん!?直した?


よく見るとそのひと坪の空間の奥には拡大鏡を頭に着けてカメラを分解している人がいる。そしてあたりを見渡すと全てのカメラ屋は奥で修理工が作業をしているのだ。壁にはぎっしりと修理待ちのデジカメが並んでいる。

直すという手があったか。でも、本当に大丈夫だろうか。一抹の不安が残るが試しに修理可能か聞いてみる。すると

「もちろん直せる。」

自信満々に言うのだ。GR3をこちらで新調することは不可能だし、散々悩んだ挙句、一か八かカメラを預けることにした。1日待ってくれとのこと、修理費用は約3000円だ。故障の原因はモーターの不調とのこと。

翌日、ドキドキしながら、でも修理工の自信満々な態度に期待しつつ店に出向いた。少し離れた場所から店員の笑顔が見える。親指を立てて満面の笑みだ。これは!彼の元に向かい、カメラを手にしたヨッチ。電源は入っている!ディスプレイも映っている。直ったと思い笑顔を見せるヨッチだが、すぐに神妙な面持ちに。。ディスプレイを覗くと、あるボタンの接触不良のようで、設定画面が高速で切り替わっていた。ボタンがずっと押されっぱなしの状態だ。撮影モードはマクロから切り替わらない。

修理工は今いない。翌日までにはなんとかすると彼は言う。私たちには時間がないのだ。でもここで焦らせては、と思いもう一日待った。

再び翌日。今度は修理工が居た。残念な顔をしている。私も専門用語が必要なスペイン語会話は高度すぎて辞書を片手に会話していたのだが、修理工はパソコンを開きgoogle翻訳に文字を入力し始めた。故障の原因を説明しているのだ。接触不良ではなく、ある部品が壊れている、リコーの部品は手に入らないから、これを直すことになる、しかしそれはとても高度な作業だから2日時間をくれ、料金はそのままでいい。。そんなことを言っていることがわかった。

私たちには時間がない。でも、その事を伝えるのも躊躇するくらい、修理工は熱心にタイピングしている。この時点で私はこの人の熱心さに胸を打たれて感動していた。彼は私たちが旅行者である事をよく理解している。いつリマを発つのか、何度も聞いてきた。そして最終的にわたしたちのわがままを聞いてくれ、今日の夜7時には仕上げる、と言い切ってくるりと後ろを向き即座に作業に取りかかったのだ!

ここは彼を信用しよう。二人とも彼の態度に感動し夜を待つ事にした。

約束の時間。店に出向くと修理工のおじさんは疲れたように、でもホッとした笑顔を見せてくれた。

「直ったよ」

カメラを手に取り全ての操作を試すヨッチ。完璧に直っている!
言葉では表現できない感謝の気持ち。おじさん、ありがとう、ありがとう!

日本ではカメラが壊れたらメーカーに出して数日、かなり高額な修理費用がかかるだろう。もちろん大切な、ましてや精密なデジタル機器なのだから当たり前だ。でも高額すぎて直すよりも買い換えたほうが安い、なんて事がよくあるため、すぐにものを買い換えてしまう節がある。(メーカーもそれを勧めたりする)

リマでのこの修理はメーカーに言えば怒られてしまう行為かもしれないが、ものの大切さ改めて気付かされ、そしてなにより情熱を持って対応してくれたこの接客態度は日本のマニュアル対応よりよっぽど気持ちよく、感動すら覚えた。

突然やってきた、時間のない、言葉の問題あり、難しい注文をする、いわば面倒くさい客である私たちに誠実に対応してくれた店員と修理工のおじさん。

リマの技術屋をなめてはいけない!

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Written by amigahina

2012年2月7日 @ 12:03

カテゴリー: Lima, Peru

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コメント / トラックバック4件

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  1. わ〜そういう話いいですね。なんかホンワカしました:)
    ひなちゃんの物事をとらえる目線がすごく素敵で好きです☆

    miepon

    2012年2月7日 at 14:10

    • みえぽん ありがとう〜。わたしもほんわかしちゃって、みんなにリマってすごいぞ!って伝えたかったんだ〜。

      amigahina

      2012年2月8日 at 00:52

  2. 素晴らしい体験だね。日本でいま昭和30年代を描いた「オールウェイズ夕日ヶ丘3丁目」が大ヒット中ですがまさにリマの技術屋さんはあの頃の日本に大勢いました。勿論カメラそのものはリマであろうと格段の進歩の物でしょうが。日本は物造りで世界の頂点にはたちましたが、翳りがみえてきたいまこそ原点にかえってこういう事を復活させたいよね。今思えばほんとにいい時代でしたよ。貧しいけど心が豊かで人々が生き生きしてたような気がする。ヒナ達にタイムスリップさせてあげたいくらいよ。ま、昔を追想しててもどうにもなりませんけど、とにかく母も熟練の技の凄腕職人さんが日本にも沢山増えるといいなと常々おもってるのよ。愛着のあるものを交換です!の一言で捨てなきゃならないなんてなんかはかないよね。
    でもこの地球上にはまだまだこういう国があるんだね。ホッとするよ。ヨッチがフェイスブックにそれらしき事を書いていたけどそういうドラマがあったんだ。ほんとに心からありがとう!だね。

    Ritsuko Soma

    2012年2月7日 at 15:25

    • そうなんだ、だからリマに長居したの。でもお陰で今まで見たことないリマを垣間見れたし、新しい場所にも行けた。お洒落な場所がリマにも続々増えてるんだよ〜。
      ものを大切に、長く使えるものを選ぶことも大事だね。

      amigahina

      2012年2月8日 at 00:55


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